
3月は出張が多かった。その中で、最も楽しかったのは、36人乗りのプロペラ機SAAB 340Bでのフライトだった。兵庫県北部にあるコウノトリ但馬空港から大阪伊丹空港までのわずか40分のフライトだったが、久しぶりにのんびりした旅だった。
プロペラ機の良いところは、低空を飛ぶので、地上がよく見えること。頭の中に日本地図をイメージすると、今どこを飛んでいるのか、よくわかる。船や電車やジャンボ機での旅とは、ひと味違った時間を過ごすことができる。
20日からの3連休は、大阪で開催された循環器学会の取材。仕事の明き時間には、自分の病気に関するセッションを聞いていた。年々、不整脈の薬物治療やアブレーションのセッションが増えているように思う。
仕事柄、さまざまな医学学会を取材しているが、そこで共通して感じることは、プライマリーケアとかなり隔たりがあることだ。 確かに基礎的な研究や高度医療への取り組みは重要である。しかしそれ以上に、プライマリケアは大切だと思う。
プライマリケアを軽視すると、心臓の病気は分かるけど、消化器の病気は分からない医者。特定の臓器の疾患には詳しいが、全身状態を診れない医者が増えてくる。 そして、心臓の病気は治ったが、その患者は死んでしまった、ということがおこる。
ジョークではない。実際、抗癌剤治療の成績を聞いていると、癌細胞は小さくなったが、その患者は死んでいるという報告があるからだ。