2009年4月2日木曜日

React Hysterically



最近のマスコミ報道、特にニュース・ショー番組の姿勢には目に余るものがある。それは、必要以上に危機感を煽っていることである。経済危機もそうだし、極めつけは北朝鮮のミサイル騒動だ。

今回の経済危機には「100年に1度」という枕詞がよく使われている。確かに、この不況はかなり深刻であることは事実だ。しかし「100年に1度」という言葉を頻繁に使うことで、政治責任や経営責任を回避できる雰囲気が生じていることに、マスコミは気づいていないのであろうか。

膨大な資産を有する大手企業が、率先して安易に人件費を削れるのは、「100年に1度」の経済危機だからだ。今回の不況については、あたかも、誰も予想ができなかったような論調が目立つ。果たして、そうなのであろうか。主に米国の低所得者の借金が日本経済を支えていたことを、そして、いずれその構造が限界を迎えることを、彼らが気がつかないはずがない。彼らは待っていたのである。皆に見える形で世界経済が崩壊することを。それが、Lehman Brothersの破綻であった。世界規模で経済が崩壊していく姿が皆に見えたとき、政治家や経営者の責任は霧の彼方に隠れ去ることを、彼らは知っていたのである。

北朝鮮は「人工衛星打ち上げのロケット」を発射すると発表した。しかし、多くの政府はロケットではなく弾道ミサイルの可能性が非常に高いと判断している。確かに、その可能性はある。しかし、ミサイルの着弾の可能性に備え迎撃態勢をしいた日本政府の対応や、連日ミサイルの脅威を煽るマスコミ報道は、極めてヒステリックである。

Reutersは「北朝鮮が打ち上げるのは弾頭ではなく人工衛星の可能性が高い=複数の米国防総省高官」という記事を4月2日に配信している。→参照
だが、このニュースを知っている日本人は少ないのではないか。

人間は、進化の過程で言葉と手の自由を獲得した。言葉は凍りついた心を癒す力を持っていると共に、人を死の淵に追いやる力も持っている。自由になった右手は、人を傷つけることもできるが、相手を抱きしめることもできる。

私たちは、言葉と右手で、労働者を物以下に扱う経営者と闘うことができる。北朝鮮に対しても言葉と右手で対応できる。どう対応するか、それは言うまでもないことだ。けんかを買うより、相手のメタ・メッセージを理解する姿勢の方が、大切ではないだろうか。

1 件のコメント:

jingil さんのコメント...

朝のワイドショーの論調にはうんざりしています。平和憲法に縛られていて良かったと思います。そうでなかったら「防衛」の名目で先制攻撃をしていたでしょうね。

「一億一心」「滅私奉公」「八紘一宇」「五族協和」色々な言葉で煽られて、右往左往してきたのに、人は歴史から何も学べないのでしょうか?