2007年8月11日土曜日

大山鳴動して「爪切り」一つ




私は「身体障害者手帳」を持っている。身体障害程度等級は1級。つまり、最も障害レベルが高いと認められているのだ。障害名は、頻脈・徐脈症候群による心臓機能障害。昨年の夏にペースメーカーを入れた時から身体障害者なのである。

ペースメーカーを入れる前は、日常生活が何かと制約されて、不便になると思っていたが、実際に入れてみると、不自由さはほとんど感じない。私の場合、電子レンジや携帯電話の影響を受けたことがないので、普通に使っている。ただ、IHクッキングの器機に近づいたとき、なにやら心臓の動きに異常を感じたので、それ以来IHクッキングには近づかないようにしている。オール電化生活はできないかもしれない。

ペースメーカーを入れたことで、最も不愉快なのは、飛行機で移動するときである。地方都市での取材が多い私は頻繁に飛行機を利用する。「身体障害者手帳」を持っていると、飛行機や電車の運賃が割引になるので、その点は良いのだが、不愉快なのは空港の出発ゲートで行われるハイジャック防止の検査時である。

金属探知機のゲートをくぐると、ペースメーカーが影響を受けるといわれているので、ゲートの横を通って、係員のボディチェックを受けるのだが、それが極めて屈辱的なのである。ゲートが反応してボディチェックを受ける人よりかなり厳しく検査される。時間もかなりかかる。また、ゲートを普通に通過していく人の視線も気になる。

私は男だからまだいいが、女性の場合はかなり嫌な体験だと思う。せめて、別室やカーテンで仕切られたスペースで検査を受けられるようにならないものだろうか、といつも思う。高齢化社会の進展とともに、ペースメーカーを必要とする人は急激に増えている。そしてその多くが、元気に生活している。つまり、飛行機に乗る多くの高齢者が金属探知機のゲートをくぐれないということを、警備会社は配慮すべきではないだろうか。そして、ボディチエックは、受ける人にとってかなり屈辱的であることを係員は認識して、それなりに対応すべきだと思う。少なくても、凶器を隠し持っている可能性がある、それを探すのだ、という態度だけは慎んでもらいたい。

先日、佐賀空港では手荷物検査でも嫌な思いをした。仕事がら私のカバンには、コンピュータ、IC録音機数台、カメラなど、取材機器が詰まっている。普通はコンピュータを別に検査してもらえば問題なく1回で通過できるのだが、その時は違った。佐賀空港の女性のセキュリティー検査官は、カバンの中の物を一つ一つ開けて検査を始め、何回もレントゲンを通して調べるのである。

対応は慇懃無礼で、あまりにシツコイので、短気な私は「みんな開けて調べていいから、終わったら持ってきてくれ」といって待合室の席で待っていた。しばらくすると女性の係官が来て「ライターが二つあるので一つは破棄してください、それと、これは機内で出さないでください」といって、小さな光る金属を手に載せていた。なんとそれは「爪切り」だったのである。冒頭の写真の「爪切り」だが、一緒に入れていたハサミの方がまだハイジャックには役立ちそうである。

時間をかけて、何回も調べて、やっと係員が見つけたのは小さな「爪切り」だったのである。爪切りでハイジャックができるとは思わないが、それより驚いたのは係員の「機内では出さないでください」という言葉だった。そこに、どのような意味があるのだろうか。機内で出すと危険だと思うなら、機内に持ち込ませなければいい。機内への持ち込みを許可するなら、危険物と認識していないことになり、なぜ「機内で出さないでください」ということになるのか。時間をかけて何を探したかったのか。そもそも、何のためのセキュリティチェックなのか。
もう二度と佐賀空港は利用しない。

2 件のコメント:

jingil さんのコメント...

空港施設と関係者と相性が悪いんですね。昔、バリ島の空港でも取調室に連れて行かれましたよね?(笑)

冗談はさておき、書店やCDショップにある盗難防止ゲートや非接触型自動改札機からも量はわかりませんが、電磁波が出ているはずです。仕事熱心な空港警備係同様気をつけてください。

MARCH さんのコメント...

jingilさん
確かに、盗難防止ゲートや非接触型自動改札機も電磁波が出ていますが、いまのところ問題ありません。ペースメーカーのシールドがかなりきちんとしているようです。こんど、空港のゲートも試してみようと、思っています。