2008年1月20日日曜日
医療崩壊が始まった
■写真は宮本隆司『神戸 1995』より。
神戸市中央区の住友ゴム神戸工場:東京国立近代美術館蔵。
今、医療の崩壊が急速に進展している。それは、産婦人科、小児科、救急医療だけではない。外科医や一般内科を含む、多くの診療科で医療崩壊が始まっているのである。
実際、私の主治医(某大学医学部付属病院の勤務医)も、あまりの忙しさに疲れきって、開業することになった。また、私のクラスメートだった医師2人も、今年病院勤務をやめて開業することが決まった。1人は消化器の内科医。もう1人は脳外科医である。
2人ともスタッフ不足による激務から、医療ミスを起こす可能性が高くなったので、病院を辞めることにしたという。
こうした医療崩壊の原因は、厚生労働省の無策だけではない。昨今の医療訴訟、医師の逮捕、刑事裁判。さらにマスコミの「受け入れ拒否」だの「たらい回し」だのといった、ヒステリックな報道も大きな原因となっている。
治療中の患者が死亡すると家族から医療訴訟を起こされる可能性が高くなり、場合によっては警察権力に逮捕され、刑事裁判となる。こうした事態を恐れた医師は、患者が死亡する可能性の高い疾患を診なくなり、患者が死亡する可能性の高い診療科から医師が消えていく。
こうして医師が少なくなった救急現場では、さらに患者を受け入れられなくなり、受け入れ拒否やたらい回しが頻発し、マスコミの批判もさらにヒステリックになる。
このように、医療を取り巻く環境は、増悪のスパイラルに落ち込んでいる。医師たちのブログをみると、実態を把握しない報道関係への憎悪に満ちている。
こうした状況は、当然、私たちにも多大な影響を与える。しかし私たちには、病院で働く医師たちの苦悩、彼らが置かれている劣悪な労働環境、私たちに降りかかっている医療崩壊の実態を、あまり知らされていない。
そこで、これから、医者を取り巻く環境と医療について考えていこうと思う。
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