2007年5月19日土曜日
小腸を検査するカプセル内視鏡
先日、日本消化器内視鏡学会が東京で開催された。
その会場で見つけたのが、カプセル内視鏡である。
胃や大腸は胃カメラなどの内視鏡で検査することができるが、今まで、小腸を検査できる内視鏡はなかった。そのため、小腸に疾患があるか否かを直接確認することはできず、小腸からの出血は「原因不明の消化管出血」とされてきた。
しかし、カプセル内視鏡の登場で、小腸全域を直接観察できるようになる。
上の写真は、イスラエルに本社のあるギブン・イメージング製のカプセル内視鏡の実物大模型。長さ26ミリ、直径11ミリのカプセルに小型カメラや照明などを内蔵している。
このカプセルを飲み込むと、消化管の蠕動運動で移動しながら小腸内を撮影。
画像データはカプセル内のアンテナから送信され、胸と腹部につけた小型アンテナで受信して、腰に装着した専用装置に記録される。カプセルは便と共に排出される。
検査時間は約8時間で、検査中に病院にいる必要もなく、日常生活をしながら検査ができる。
胃カメラを飲み込む時のような苦痛はなく、もちろん喉の麻酔は必要ない。また、エックス線撮影の時に飲むバリウムなどの造影剤も必要ない。検査前に絶食するだけである。
このギブン・イメージング製のカプセル内視鏡は、4月に輸入販売承認を取得し(国内初)、5月末から販売を開始する予定である。
しかしまだ、保険診療では使えないため、当分の間、実費は患者の自己負担になる。
検査に特別な技術を必要としないため、欧米ではクリニックでもカプセル内視鏡が使われ、既に数十万人以上が検査を受けているといわれている。
日本のメーカーでは、オリンパスがカプセル内視鏡に力を入れている。
カプセル内視鏡は、主に原因不明の消化管出血の診断やCrohn病の診断として期待されているが、膨大な写真データを読む必要があるため、画像分析ソフトの開発が急務といわれている。
また、一部のマスコミで言われているように、胃カメラ(胃内視鏡)や大腸内視鏡の代わりとなるものではない。
■写真は一般的なカプセル剤との比較。
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