2007年5月23日水曜日
懐かしさと美味しさの違い
大阪に行く時、飛行機にするか、新幹線にするか、迷うことが多い。しかし、結局は新幹線に決めることが多い。その理由は「駅弁」である。
旅行でも、出張でも、車窓から外を眺めながら食べる駅弁は格別である。食堂車で食事をするのも好きで、かつて新幹線に食堂車があった頃はよく利用していた。最近は、空弁も種類が増えて味もいいが、やはり駅弁にはかなわない。
今回の大阪出張では、崎陽軒の「シュウマイ弁当」を買った。
鎌倉育ちの私にとって、崎陽軒のシュウマイは、ヨコタカ(横浜の高島屋)の包み紙と同じようにハレのシンボルだった。崎陽軒のシュウマイは立派なご馳走で、醤油が入った陶器の瓢箪は立派な玩具だった。もちろん、45年以上も前の話で、まだ鎌倉に漁業と農業が残っており、別荘はあるがサラリーマンを対象とした分譲地など皆無の頃である。
当時の私は、鎌倉駅前にある喫茶店「扉」に行くのが楽しみだった。「扉」は鎌倉土産で知られる「ハトサブレー」を製造販売している店で、今でもレストラン「扉」として同じ場所で営業している。
ここで、ハンバーガーやホットドックを食べるのがご馳走で、私は特にホットドックが大好物だった。40歳になった頃、このハンバーガーやホットドックが昔の味のままで復活した。私と同じように、幼少時代を懐かしむ人たちが多いんだな、と思いながら、さっそく鎌倉まで食べに行った。懐かしい味であった。しかし美味しくはなかった。
崎陽軒のシュウマイ弁当を買うのは、懐かしさからだけではない。
確かに、弁当を開けたときに漂うシュウマイの香りは、幼少の時代のさまざまな思い出を想起させるが、それだけではない。
実に旨いのである。
このシュウマイ弁当が誕生したのは昭和29年のこと。
その後、彩り豊かで豪華な駅弁が増えるなかで、シュウマイ弁当は頑なに発売当時の素朴なイメージを53年間も守り続けているのである。
おかずの主役は、もちろんシュウマイ。中央に5つのシュウマイがドンと入っていて、その脇にカマボコ、竹の子の煮込み、マグロの照り焼き、そして数年前から卵焼きが加わった。その配置と色彩は、あまり美味しそうには見えないが、竹の子の煮付けとシュウマイを交互に食べると、実に旨いのである。
普通、シュウマイは蒸したてで、温かいから美味しい。しかし、このシュウマイ弁当に入っているシュウマイは、冷えていても十分旨いのである。その秘密は、豚肉やタマネギといった具にコクのあるホタテの貝柱を混ぜたところにある、と聞いたことがあるが、本当なのだろうか。
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1 件のコメント:
「練馬人」で現在横浜在住の私は、時々「横浜人」に驚かされます。「シウマイ弁当にはシウマイがいくつ入っているでしょう?」90%の「横浜人」は「何をきくのだ?」という表情で正解を答えます。「横浜人」もシウマイ弁当が大好きなんですね。ちなみに正解は5個ですよ。
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